「輪界レポート」40周年記念
自転車業界戦後50年

(株式会社 インタープレス 1995年刊)

本書は戦後の復興期から最後の黄金期までの50年間に起こった自転車産業全体と業界団体の主要な出来事、また完成車・部品の製造業や自転車店・スーパー・ホームセンターなどの流通企業の興廃を記録した本である。

同じ50年間の歴史を記した自転車企業の記念史はいくつか存在しているが、産業と企業の動向を併せ記録した本は皆無と言っていい。

これに比し本書は、5年単位で全体を俯瞰しつつ、個別企業の動向にアプローチ、事実関係を詳細に記録に留めている。

それもそのはず本書の基になっている資料は、業界新聞社「インタープレス」(廃業)の主要事業だった有料情報誌「輪界レポート」に掲載したニュースを整理要約したものだからである。

加えて本書の価値を高めていることは、全時代にわたり写真が掲載され、今ではお目にかかれない貴重な映像もある。

  とはいえ本書には、発刊時には「所詮は業界紙、スポンサー寄りの記録だろう」と誹謗中傷する声があった。

当然インタープレス社側でもそれを意識、今日読み返してみても客観性維持に気配りした配慮がうかがわれる。

それでも疑問視する自転車史研究家は、ある種のバイアスは業界紙の性格上止むを得ないことと割り引いて理解の上、本書を活用してみれば、これに優る詳細な史料はないことに気が付くであろう。

また、インタープレス社は自転車産業の海外移転に早くから着目して台湾・中国にも事業展開、後続する自転車企業のパイロットになったことでも知られている。

戦後のどん底から90年代後半のバブル経済崩壊までの自転車産業の動向を一覧できる本書は、自転車史を探求する貴重な史料として高く評価できよう。

6か月前