燃料電池車商品化への道

ここ1年 “脱炭素社会”とか“ゼロカーボン”とか、聞きなれない言葉が連日マスコミを賑わしている。環境問題にとどまらず、産業成長戦略と位置づけ、産学官連携して実現する動きが加速している。

本年(2021)6月山梨県は、燃料電池の技術を持つ山梨大学や、液晶・半導体製造装置の日邦プレシジョンなどと共同開発した、水素・燃料電池を電源とする電動アシスト自転車の試作モデルを発表した。

この燃料電池を使えば、水素1.1リットルで100km走行が可能であり、リチュウム電池の一般アシスト車に比べ、2倍以上の長距離走行が可能という。

(山梨県が発表した燃料電池アシスト試作車)
(アシスト車の電源になる水素・燃料電池のプロトタイプ)

燃料電池は、今までのエネルギーとはまったく異なり、水素と空気中の酸素を化学反応させて電気を発生させる画期的な発電システムである。有害物質を排出せず、エネルギー効率に優れ、環境やエネルギー問題の解決策として世界で開発が進められている。

  そういえば10数年前、現在自動車用水素スタンド設置を進めている岩谷産業が、「水素自転車」と名づけて、水素でバッテリーを充電するアシスト車を発表したことがあった。

(岩谷産業の開発した「水素自転車」)

2015年には、ドイツの化学メーカーリンデが燃料電池車を発表している。

(リンデの開発した燃料電池アシスト車)

2019年には、フランスの燃料電池開発企業プラグマインダストリーが、マウンテンバイクタイプの燃料電池アシスト車「アルファバイク」の日本販売を発表。価格は100万円するが、すでにフランスでは100台以上売れたという。

(フランス生まれの燃料電池アシスト車「アルファバイク」)

  電動アシスト自転車の売れ行きは好調である。

2020年国内自転車総出荷台数は718万台、前年比100.8%の微増にとどまっている。そのなかで8.5%の61万台を占める電動アシスト車は、106.1%と伸びている。

価格では、全自転車の平均単価@18.203円に対し電動車は@90.053円とおよそ5倍と高く、しかも前年比では113.2%と伸長、より高価格車が売れている。

コロナ禍により自転車の見直し気運が高まるなか、電動アシスト車需要はますます各拡大するだろう。

電動アシスト車の電源は、初期の鉛畜電池からニッケルカドミウム畜電池・ニッケル水素電池 (Ni-Cd)を経て、現在では小型軽量で長寿命なリチウムイオン二次電池(Li-ion) が主力になっている。これらと伍して燃料電池はどう戦うか? 

水素燃料電池はクリーンなだけでなく、長距離走行が可能なこと、短時間で補給ができること、充放電サイクルによる電池交換不要など利点は多い。

だが、小型化・軽量化・コストダウンなど商品化の道のりは険しい。

自動車の世界では、電気自動車や燃料電池車の開発競争真っ只中であり、いずれ脱ガソリン車の時代がくることは間違いない。

  その時、燃料電池アシスト自転車はどうなっているか?興味は尽きない。

1か月前