宅配戦争激化
自転車復権なるか

コロナ禍発生以来、巣ごもり生活の広がりとともに、ネット通販(EC)の物販売上が目に見えて増大している。

  代表格アマゾンは全国の専用倉庫を、またイオン・ユニクロ・コンビニなどのチエーン小売店は実店舗を、それぞれネット受注の配送拠点にして、そこから小口配送をする。

最近は“翌日配送”が当たり前になり、居住者の多いマンションでは配送員が鉢合わせするほどに、宅配競争が激化している。

宅配事業者は、ヤマト運輸(宅急便)・佐川急便(飛脚宅配便)のトップ2社がシェア7割強を占め、日本通運(ペリカン便)・日本郵政(ゆうパック)・西濃運輸(カンガルー便)などが追撃している。

増加する宅配量と排ガス規制や駐車難対策のため、これら宅配業者は配送に独自の工夫を凝らした結果、小型モビリティに新形態の需要が生まれている。

  先ずは、自転車や手押し台車の活用である。

もともと自転車の二大用途は移動・運搬の実用とレジャー用である。モータリゼーションの進展とともに実用需要は大きく減り、近年は郵便物の配達や自転車便に使われる程度だった。

が、すでに“移動”の用途はシェア自転車などで都市交通に再認識され、こんどの宅配は“運搬”手段としての復活である。

幸い電動アシストが開発されている。楽に走れるだけでなく、免許がなくても乗れる利便性が運搬の手助けをする。

(電動アシスト機能は運搬を助ける)

また、自転車の最大積載重量制限は30kg(東京都の場合)。過積載の場合は、昔よく見かけた自転車でリヤカーを牽引する配送スタイルが復活している。

(自転車でリヤカーを引く)

  さらに三輪自転車には、二輪車より安定した積載能力がある。

ヤマハは、2013年三輪自転車と脱着可能リヤカーを組み合わせた電動アシスト付き配送専用車「パス ギア カーゴ」を発売した。

(ヤマハの配送用三輪車。後部にリヤカーを脱着できる)

またヤマト運輸は、ドイツ製の全天候型電動アシスト三輪車を導入している。

(ヤマト運輸のドイツ製三輪車)

佐川急便は、豊田TRIKEと共同開発した電動アシスト三輪自転車「トライクカーゴ」を採用、積載重量150kgまで対応している。

(佐川急便の電動アシスト三輪車。積載能力が大きい)

  このような宅配に加え、巣ごもり生活が外食形態を変え、自宅での食事が増大、料理の宅配需要が急拡大している。2020年実績は前年の5割増という。

料理宅配は、古くは出前と呼ばれ、うなぎ・寿司・蕎麦屋が自転車を使って配送していた。

(昭和初期の自転車による出前風景)

放送作家の故永六輔は語っている  

「昭和の初め、そばを運ぶ若い衆がハンチング帽子にニッカボッカ、派手な上着を羽織って短いハンドルで曲乗りしながら運ぶ。とにかくかっこよかった……」

  このような個店の出前に加え、1970~80年ごろからピザやハンバーガーなど外食チェーンが自前で配送していたが、こんどは新業態の料理宅配専門事業が誕生した。

先行する2強のウーバーイーツ・出前館、追随するメニュー・ウォルトに加え、アメリカトップのドアダッシュの進出も始まった。

これらの配達員は、インターネット経由で配送を単発で請け負うギグワーカー、およそ30万人といわれている。配送にシェア自転車やオートバイを使う場合もあるが、大半は個人所有の自転車を使っている。

このような料理宅配は、自転車にとって見逃せない需要である。

(背中に担ぐウーバースタイル)
(出前館とヤマトが交差点クロスオーバー)

  自転車メーカーも工夫している。

パナソニックは、重い荷物を積んで登坂のとき、電動アシスト機能の働きにより、「押し歩き」が楽にできる自転車を発売した。業務用需要も期待している。

(パナソニック「ビビ・レ・押し歩き」定価129.000円)
(押し歩き時はサドルを上げて押す)

  付記すれば、21年6月道路交通法が改正され、超小型電気自動車(EV)「ミニカー」の最大積載量30キロが3倍の90キロに緩和される。

すでにコンビニのセブン-イレブンは、トヨタ車体のミニカー「コムス」を配達用に採用しているが、他にもミニカーを使う宅配需要が生まれるだろう。

(セブンイレブンの配送用ミニカー)

もちろんオートバイによる配送も行われている。

(オートバイを使った配送も健在)

自転車、自動車、オートバイが三つ巴となって、配送用小型モビリティはいま花ざかりである。

3週間前