真鍋博original1975

(真鍋博 講談社1975年刊)

本書は、講談社の美術書シリーズの一環として刊行された、イラストレーター真鍋博の作品集である。

1975年以前に著者が描いた、出版物の表紙やポスターなどの様々なイラストが集められ、自転車も随所に登場している。

著者は作家星新一のSF小説の挿絵で有名になり、また多くの抽象的・漫画的な未来画を描いていることも手伝い、SF作家的なイメージがある。だが、時代遅れとされた早い時期から、自転車に深い関心を持っていたようである。

このため1970年代にアメリカで起こったバイコロジー運動の日本における提唱者の一人であり、「バイコロジーをすすめる会」の推進企画委員になっている。

自転車業界との関わりも深く、本書にも宮田工業のカレンダー(65年)、自転車産業振興会のサイクルショーポスター(73年)、ブリヂストンサイクルの総合カタログ(73~76年)、朝日新聞のサイクルガイド(74年)などで描かれた、いろいろな自転車のイラストが収録されている。

本書をめくると一頁一頁に、緻密・繊細な幾何学模様のカラフルなイラストが溢れ、見る者を創造的・メルヘン的な“真鍋博の世界”に遊ばせてくれる。

本書は、イラストだけで説明文もなく、サイズも大きく(変形B4版)、自転車本としては必ずしも適切ではない。エッセイストとしても知られる著者の「自転車賛歌~20キロ文明の流れ」(ペリカン社)の併読をお奨めする。

著者没後20年、半世紀も前から将来における自転車に着目した数々のイラストは一見に値するであろう。

(コメント:角田安正)

8か月前