ロードバイク進化論

(仲沢 隆 枻出版社刊)

1817年の誕生以来、200年に及ぶ自転車の歴史のなかで、19世紀末に完成したチェーン駆動ロードバイクに焦点をあて、その後の100年間の変遷を技術的進歩の裏づけとともに記述した、ほとんど類書を見ない本である。

「ドイツで生まれ、フランスで育ち、イギリスで完成した」と言われる自転車には、もともと実用とレジャー用の2大用途があった。

そのうちレジャー用は、スピードを競う自転車競技に進展、フランス・イタリア・スペイン・ベルギー・オランダの西ヨーロッパで盛んになった。

著者は、この自転車競技を“ヨーロッパの文化”ととらえ、その文化的意義を論ずるため、競技そのものでなく、自転車を構成するパーツや用品の進化に論点を求める。

構成は、「序章フレームの進化論」から始まる。スチールからアルミ・チタン・カーボンなど素材の特徴と進化が語られ、完成車メーカー興亡の歴史が解明される。

続く「第1章コンポーネントの進化論」では、パーツのトータル設計思想 “コンポ概念”の出現により、パーツごとに存在していた専門部品メーカーが淘汰集約されていく過程が理解できる。

圧巻は、「第2章ドライブトレイン」と「第3章パーツ」である。第2章でクランク・ペダル・ギヤ・ディレーラーなど。第3章でハンドル・ブレーキ・サドル・タイヤなどのほか、バーテープ・ボトルゲージの小物まで。これらのパーツごとに、2章にわたって微に入り細を穿って進化と変遷が記述されている。

最後の「第4章ウェア・ギアの進化論」では、ウェア・ヘルメット・サングラスなどの用品についても、科学的解析を加えてその変遷を説明する。

本書は自転車専門誌「バイシクルクラブ」の連載をまとめたものである。いかにも専門的で難解な本のように思われるが、イラストや写真を多用してわかりやすく、各項目も読み切り形式になっていて、誰にでも読みやすい本である。

自転車を通してのメカニズムや人間工学、また歴史に興味のある人にとって、格好の手引き書になる。またビンテージ自転車の価値分析などにも役に立つはずだ。

本書刊行以来10年が経ち、E-バイクなど新しい技術も始まっている。続編を読みたいものである。

(コメント:角田安正

1週間前