(サイクルスポーツ編集部 八重洲出版刊)
“自転車好き”には、いろいろなタイプがある。
自転車旅を楽しむ人、競技を競う人、ひたすら乗ることが好きな人、メカニズムに興味を持つ人、自転車史に関心がある人、健康づくりに励む人など……。
本書は、30回にわたって連載された、月刊サイクルスポーツの人気記事「自転車道」の総集編である。
序文で、編者はこう述べている。
「機材がよくなり、自転車のことを深く考えなくても乗れるようになったために、自転車遊びが短絡的になった」と。
そして、「自転車を深く理解すれば、“自転車乗り”として、内面から進歩できるかもしれない」と語る。
この“自転車乗り”を“自転車好き”と言い換えれば、編者の言葉はどのタイプの自転車好きにも当てはまる。
本書を通じて、自転車の基礎知識を理解し、より科学的に自転車を考察すれば、ますます自転車が好きになるはずだ。
内容はフレーム設計から始まる 。
構造・剛性・素材・チューブ特性・フロントフォーク・ステーからジオメトーリーの考え方まで、科学的・人間工学的な解析が続いていく。
なかでも、カーボン・ベアリングについては、類を見ないほどに詳述されている。
さらに自転車道の探求は、カラーリング・デザインの世界にも広がり、「美しい自転車」とは何かを考えさせる。
本書の最大の特徴は、理解の難しい技術論が多数の図解と写真で解説されていて、誰でも目で見てわかることである。
さらにすべてのテーマが、現役トップクラスの技術者との対談形式で語られ、読者は臨場感に引き込まれる。
自転車好きなら、保存版として座右に置きたい1冊の本である。

(コメント:角田安正)
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