アフターコロナと自転車の変化(2)

世界で自転車利用者が急増している、とマスコミが伝えている。

欧米では、本年5月下旬の外出制限解除後から利用者が4~5割も増え、ヘルメットなどの用品を含めた自転車関連の売上高が、前年の2倍以上の国もあるという。

(自転車人気を伝える日本経済新聞7/18夕刊)

なかでもフランスでは、10数年前の大規模シェア自転車ヴェリブの登場により、温暖化や渋滞対策を兼ね、自転車を都市交通に使う気運が高まっていた。

そこにコロナ騒動である。フランス政府は、個人の自転車修理に補助金50ユーロ(約6100円)を支給、年内100万台の修理を目標にする。また自転車利用環境整備にも力を入れ、パリでは自転車レーンを50km延長する。

イタリアは500ユーロを上限に自転車購入代金を、イギリスでは50ポンド(約6.700円)の修理費を補助する。

補助金だけでなく、ベルリンでは大型の駐輪場の建設、ニュヨークなどアメリカでは自動車道路を一時的に自転車にも開放する。

このように世界では、コロナ禍を機に自転車利用が進んでいる。

━日本でも自転車利用者が増えている。

コロナの3密を避ける移動手段として、また運動不足解消として、あまり使っていない自宅の自転車や、駅前にあるシェア自転車を、通勤や買い物に利用する人が目に見えて増加している。

6月ごろからは、政府の定額給付金10万円で買ったのか、駐輪場の所々にピカピカの新車が並んでいる。

街中でも、自転車好きの若者が手持ちのクロスバイクをロードバイクに乗り換え、人混みを縫って走る姿をしばしば見かける。

若い女性たちも、これまでの軽快車でなく、軽やかなスポーツタイプで颯爽と走っている。

もちろん、子供同乗のママチャリやオジサンの自転車も増えているが、よく見るとレベルアップして電動アシスト機能付きが多い。

いま自転車は、スポーツ車化と電動車化の流れに向かっている。

━こうした動きには株式市場は敏感だ。

自転車小売りチェーン店の「サイクルベースあさひ」の株価は、コロナ禍で世界の株式市場が急落した3月を底に、右肩上がりの上昇をしている。

(サイクルベースあさひの20年2~7月株価チャート)

さらに、世界中に自転車部品を供給している「シマノ」の株価は一段と高い。

(シマノの20年2~7月株価チャート)

2社以外にも、株式市場で取り沙汰する関連銘柄は━

エイチーム・ブリヂストン・パナソニック・ピープル・シュッピン・ダイヤ通商・東レ・サンコウ・ヤマハ発動機・新家工業・セキチュー・ダイケン・シナネン

それぞれの企業にとって自転車関連の影響は大小様々である。エイチームのように赤字続きの自転車通販部門が、初めて黒字化した企業もある。

ますます増大する自転車需要は、企業業績にも影響するであろう。

3年前