アフターコロナ論議が盛んである。
人々の行動変容が社会経済に大きな変化をもたらし、新常態(ニューノーマル)になる、と多くの識者がいう。
例えば、“巣ごもり消費”が食事の形を変え、食材の変化やテイクアウト行動となり、食品や外食産業が変わっていく。
テレワークやオンライン授業などの“デジタル化”が進むと、新しい社会インフラによる新しいビジネスが生まれる。
しかも変化は世界的、長期的である。変化は変化を呼び元に戻ることはない。
━もちろん自転車の世界も例外ではない。様々な変化が生まれる。
もともと自転車は、2010年代の大規模シェア自転車の登場により、公共交通における新しい役割が生まれ50年一度の変革期にある。
コロナ騒動のなか、人混みを避ける移動手段とし自転車が再認識され、通勤や買い物に使う人が目立って増えている。しかも身体を動かしストレスを減らす効用がある。環境対策のシンボル的イメージもこれを助長する。
都市部では、自転車通勤を解禁したり、自転車通勤圏に引っ越したら補助金を出す企業(=半導体のディスコ)が現れている。
政府も、コロナ基本的対処方針のなかで自転車通勤推進を打ち出している。
(5/2付日本経済新聞夕刊一面トップ記事)
このような自転車活用気運のなか、個人用に自転車を買う人もシェア自転車利用者も増えている。
ところが、この両者は併存しにくい。片方が増えれば片方が減る。
(右は個人用有料駐輪ラック、主に自宅から駅まで。左はシェア自転車、駅から街中に。東京・京王線初台駅近くの風景)
シェア自転車が普及すると、個人の駐輪場やメンテナンスが不要になり、所有を止める。さりとてシェア自転車は、便利とはいえ何かと制約があり、一時的な借り賃もかかる。商品的にも、共用性や強度を重んじるため乗る魅力に乏しい。
個性的で魅力ある自転車、例えばスポーツバイクを共用に使えば、初期投資やメンテナンスコストがかかる上に、利用者の範囲を狭め、採算が合いにくくなる。
━個人用と共用をともに増やすマーケティングが、自転車総需要拡大策の一つであり“自転車化社会”実現の道である。アフターコロナを自転車の発展につながるチャンスにしたいと思う。
(参考)当WEBの「レンタサイクル物語」(最終回)「シェア自転車を集大成する」(http://www.jitenshamonogatari.com/2020/04/19/sieajitensha/
(その8)「新型コロナはシェア自転車を変えるか?」も併せてお読みください、