猛暑のなかの峠越え
/初日は軽井沢

8月夏休みの早朝5時、アツシとカンタさんは新潟を目指す日本横断1泊2日の自転車旅をスタートした。

1日目は、東京・葛西臨海公園から埼玉・熊谷を走り抜け、難所の軽井沢・碓氷峠を越えて行けるところまで行く。日暮れまでに180km以上走りたい。出発が30分ほど遅れたのは痛いが、この計画はボーイスカウト時代から数えて35年、いまさら多少のタイムロスは気にしまい……。

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(アツシは出発をfacebookに投稿)

荒サイを走る

2人が走る荒川サイクリングロードは、略して荒サイと呼ばれている。荒サイは東京や埼玉あたりの自転車乗りの定番コースである。熊谷までは、左右の護岸を使って様々なコース取りができるが、今回はとにかく最短距離を走ることにする。

「アツシ、追い風だ!気持ちいいな!」

荒サイには、行きも帰りも向かい風という邪悪な面がある。誰しも経験したことがあるだろう。幸い、今回の旅はワンウェイ。うまくいけば、ずっと追い風が続くかも。ともかく順調な滑り出しだ。

アツシはロードとMTBのアマチュアレースに長年参戦してきた。それなりの実績もある。オッサンになった今は、レースは見るものと公言しながら、旅行を兼ねたロングライドイベントには積極的に参加している。実力は趣味のレベルだが、新潟までなら問題ないはずだ。

しかしカンタさんはロングライド初心者だ。今は早朝で涼しく、追い風のおかげで順調にペースを刻んでいるが、いつバテルかわからない。

アツシはボーイスカウト時代、中学生を指揮する隊長を4年経験した。人の世話は嫌いではない。先輩ではあるがカンタさんの面倒をみよう、と心に誓う。オーバーだなあ。

最大の敵は、灼熱の太陽

日本列島には、太平洋と日本海を隔てる高い山脈が縦に走っている。その山並みを横切る自転車旅は、どのコースを走っても峠越えに苦戦する。今回の難敵は碓氷峠越えだが、それ以上に怖いのは暑さである。今日は8月、体感40度を超える猛暑になるはずだ。

幸い、荒サイには様々な場所に水道があり、1時間ごとに頭から水を浴びられる。水で体を濡らせば、走行中風が涼しい。これがアツシの熱中症予防策である。

スタートから走ること50km、さいたま市に入ったところにある秋ヶ瀬公園で小休止した。県を代表する大公園でスポーツ施設もある。すぐに水場を探し、冷水を浴びる。

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(定番の休憩場所、秋ヶ瀬公園にて)

さらに20分走り、上尾の榎本牧場へ立ち寄る。この牧場は東京から荒サイを走る人が最初に目指す定番スポットである。初級者にとっては、都内から往復約100kmになり、折り返し地点にもなっている。

わざわざここで小休止したのは、単調な走りにならないよう、カンタさんを飽きさせない作戦である。見ると、カンタさんは牧場のカワイイ豚さんたちと戯れている。作戦通りだ、ヨシヨシ(笑)