三輪自転車の話(4)

1970年初頭、戦後最大の自転車ブームがアメリカで始まった。対米輸出増大につれ日本国内でも需要が盛んになり、様々な自転車が考案された。

その一つに三輪自転車があった。倒れにくい特性と荷物を運ぶ機能を生かして、いくつかのタイプが商品化され、買物や商用に重宝された。

その後、モータリゼーションの進展により、衰えはしたが安定需要が続き、近年再び拡大の兆しがある。

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(1970年代から続く三輪自転車 ブリヂストン・ワゴン)

もともと三輪自転車は、ふらつきが少なく、乗れない人でも乗れるどっしりとした安定感がある。だが、曲がり角で小回りできない欠点があった。70年代半ば、自動車メーカーのスズキやダイハツが「スイング機構」を開発、二輪自転車に近いフリーな乗車感覚が得られるようになった。

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(スイング式の振り子運動のイメージ)

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(スイング機構により水平を保持できる)

スイング式は、ハンドルを左右へ振る“振り子運動”によって、曲がるときに車体前部が傾いても後2輪が水平を保ち小回りが利く。だが、スタートや停まるときにふらつくから、二輪自転車に乗れない人は乗りにくく練習が必要である。

スイング機構に不慣れな人のために、特定の金具やレバー切替えで振り子運動を固定する形式も考案され、乗ったままの姿勢で足を地面につくことなく発進停車ができるようになった。

もちろん従来からの完全固定式もある。小回りができない欠点はあるが、停車時の安定感は抜群であり、初心者向けや荷物配送などに需要を広げている。

さらに進化したのは、低速走行でもふらつきがより少ない「前2輪型」の開発である。かごなどを装備するため、「後2輪型」は前輪が大きく後輪が小さいのが一般的だが、逆に前2輪型は前輪が小さいのが特徴である。

前2輪型にも固定式とスイング式がある。固定式は左右のがたつきがなく、歩く速度と同程度の低速走行に適している。スイング式は、段差の乗り越えや斜め走行が楽になる。

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(前2輪固定式 ブリヂストン・ミンナ)

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(前2輪スイング式 ミムゴ・バンビーナ)

一般に三輪自転車は自重があり、重い荷物を積めばより重くなる。このため、アルミフレームなど車体の軽量化や、スタンド代わりのパーキングロックが開発されている。また軽く走るために変速機付き、さらには電動アシスト機付きも商品化されている。