2019.06.09 赤松正行
自転車に乗って出かけている先で、タイヤのパンクなど自転車を整備する必要が生じることがある。サドルを調整したり、アクセサリーを取り付けたりすることもある。この時にタイヤ・レバーや六角レンチ(アーレンキー)、あるいはプラスやマイナスのドライバーがなければ作業ができない。しかも、自転車で持ち運ぶのだから、小さくて軽いほうが望ましい。そこで軽薄短小なツールを紹介しよう。
まず、自転車用の携帯ツールとして思い浮かぶのは、数個の工具を一体化したマルチ・ツール。ミノウラのHPS-9 Get’Aは2/3/4/5/6mmレンチとプラス・ドライバーを備えるだけでなく、両側にタイヤ・レバーを備える。さらに、ペダルに取り付けて自転車を自立させたり、スマートフォンのスタンドにもなるアイディアが楽しい。ただ、重量162gと大ぶりで、レバーが外れ易いのが残念。
ミニマルさで言えば、パークツールのMT-1ほど潔いものはないだろう。なにしろ、単なる一本の棒に過ぎないのだから。しかし、3/4/5/6/8mmの六角レンチ、マイナスのドライバー、そして8/9/10mmのボックス・レンチと9役をこなすのは驚異的。重量は55gで可動部がないので安定して使える。これに2本で10gと軽量なカーボン製のタイヤ・レバーを加えて合計65g、先の半分以下だ。
この棒ツールのシンプルさは素晴らしいのだが、突起部が短いので、込み入った狭い箇所に工具を差し入れることができない。そこで代替の小型マルチ・ツールとして選んだのが、トピークのMini 6。同社としては最小の製品。2/3/4/5/6mmの六角レンチとプラス・ドライバーと6種類だけだが、意外と困らない。重量は73gと軽く、かなりコンパクトで可愛らしい。
ところで、マルチ・ツールと言えばアーミー・ナイフが思い浮かぶ。そのスイス軍御用達のビクトリノックスも自転車に特化したバイク・ツールを作っている。2/2.5/3/4/6mmの六角レンチ、マイナスとプラスのドライバー、T25のトルクス・レンチ、そして2本のタイヤ・レバーといった構成。レバーの先にビットを取り付ける手間があるものの、剛性が高く使い勝手も良い。重量は92gと悪くない。
以上の4種類のツールは、それぞれ数ヵ月以上は使っている。他にも用途や使い勝手の点で使わなくなったツールもある。自分の自転車やアクセサリーなどの装備を考えて、ミニマリズムに徹するのは楽しい。だが、ふと疑問が浮かぶ。なぜ、これほどたくさんのツールが必要なのか?と。本格的な整備となれば、更に多くの工具が必要になる。やれやれと溜息が漏れてしまう。