ポール・スミスの財布ポーチ

2019.03.09 赤松正行

大英帝国が誇る洒落男、ポール・スミス(Paul Smith)が最近リリースしたバッグが面白い。正しくはポーチかポシェットと呼ぶべきだろうか、財布と小物入れを兼ねた小さなバッグで、肩紐が付いている。従来はバッグに財布を入れるのが一般的だったが、これはバッグ自体が財布機能を備えている。そして、現代生活には欠かせないスマートフォンが入るようになっている。

この手のバッグは何種類かあるが、筆者が手に入れたのはトラベル・ストライプ・ポケットの縦長版。倍ほど大きな横長版は余裕があるものの、小銭入れがなかったので遠慮した。これに対して縦長版は小銭、お札、カード、スマートフォン2台が入る程度の最小仕様。そう、これだけを持って身軽に街を歩き、颯爽と自転車に乗りたいわけだ。サイクリング・ジャージの背中ポケットにも入る。

これとは別に、諸般の事情で同じような形状のトラベル・シリーズのレザー・ポーチも購入した。こちらも小銭、お札、カード、スマートフォンが入る。素材が厚手の牛革なので、大きな財布に肩紐が付いているような印象を受ける。先のトラベル・ストライプ・ポケットと比べると少々分厚いが、小銭入れはしっかりしているし、スマートフォンや小物も入れ易くなっている。

ちなみに、ブランドの経営者でありデザイナーであるポール・スミス卿は、青年時代にプロのロード選手を目指していたほどの自転車好き。サイクル・ウェアのコレクションPaul Smith 531を展開し、ツール・ド・東北の公式ジャージやRaphaとの共同製品も手掛けている。今回紹介したバッグもサコッシュにインスパイアされたと店頭で説明されていた。

日常と地続きの自転車は、社会や生活に影響を受け、影響を与える。自転車に乗ると何事もシンプルでありたいと思うように、社会もシンプルさを求め、最適化が進んでいる。それにも関わらず、このような財布ポーチが必要となるのは、日常の決済が電子化されていないからに他ならない。もはや大きな財布は必要ないが、財布自体が不要になる日を待ち望んで止まない。

【参考】ツール・ボトルのミニマム内容(Critical Cycling)

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