名著・新刊・大作・希少本を紹介する「1冊の本」自転車の歴史 ━200年の歩み…誕生から未来車へ━

(ドラゴスラフ・アンドリッチ著/ブランコ・ガブリッチ構成/村田統司監修/古市昭代訳 ベースボールマガジン社)

本著は数ある欧米自転車史本のなかで一度は読みたい名著であり、200ページに及ぶ大作である。

17世紀末から19世紀前半までの200年間にわたる自転車の形状や技術の変遷を、現存している写真・絵画、復刻した想像絵・挿絵を多用して記述した自転車史の大パノラマである。末尾の「監修のことば」のなかでも「まるで自転車版“大人の絵本”」と、正鵠をうがつ表現がされている。

━しかし絵本というだけではない。

自転車を生み出した社会背景や、開発に関わった人々についての丹念な説明は、よくぞここまで歴史を調べたものと感服させられる。物語風な語り口のなかには多少の創作や誇張された表現もあろうが、バロン男爵・ミショウ・ジェームスと甥ジョンのスターレー一族・ダンロップ・ミシュランなど史上の人物が生き生きと描かれ、史実としても受容できる信頼性がある。

さらに歴史だけでなく、「自転車レース」「未来の自転車」「自転車と女性」「自転車と健康」など、自転車を総合的な視点で見る著者の姿勢がうかがわれる。

━自転車に興味がなくても歴史好きには薦めたい読み物であり、自転車に関わる人なら手元に置きたい一冊の本である。

(コメント:角田 安正)

8か月前