自転車競技選手、ダミアーノ・クネゴの引退劇

今季でダミアーノ・クネゴ選手が引退します。その引退会見で改めて、自転車競技という文化、その中で選手としての生き方を見せられました。
ヨーロッパにおけるプロロードレースは伝統的な価値観が貫かれています。レースは個人の自己実現のためでもあるけれど、基本は国家の威信を世界中のライバルと同胞たちと戦って勝ち取ることが優先事項です。
世界選手権やオリンピック、伝統的なレースで、表彰台のてっぺんに立つのが一番の価値で、そこに立つのは自分でなくても自国の同胞であればいい。
だからプロロードレースでは、エースを勝たせるためにアシスト選手が献身的な働きをする。エースがパンクすればアシスト選手は犠牲精神を発揮して自分の車輪を差し出すのです。
そんなアシスト選手は、レースファンの覚えがよく、スポンサーやチームから評価され、エースが勝てば賞金はすべてのチームメンバーに分け与えられる。
クネゴは、イタリア人としては遅くて15歳から自転車競技を始めて、すぐに頭角を表し、22歳でプロデビューするとすぐにジロ・デ・イタリアで総合優勝。そんなクネゴも37歳で引退です。
日本企業が個人スポンサーとしてついていて、「クネゴを食事に招待すると後輩選手にさりげなく、いろんなマナーを教えていたりする。レースの戦術だけでなく、ファンサービスやスポンサーとの付き合い方など、人生の機微を」と語っていました。
引退会見後のパーティ会場にはイタリア大使も駆けつけて、パーティ参加の日本人たちに「今年のジロはイスラエルがスタートだったが、ぜひ日本をスタート地にしたいね。ニッポン万歳!!」とクネゴと肩を組んでのリップサービス。

本当、イタリア人は自転車競技を愛しているようです。

5年前