レンタサイクル物語4

By I, Rcsmit, CC 表示-継承 3.0, Link

もともと自転車には、実用性とレジャー性の両面がある。軽井沢や山中湖の外人別荘地から端を発したレジヤー用途は、メーカーの後押しもあって、全国観光地のホテルや土産物屋でレンタルされ、人々の観光の足となった。名門「上高地帝国ホテル」さえ配置した。
1970年代には、日本は世界一のレジャー用レンタル需要を創り出した。もっとも車種は、日本的な軽快車だったが……。
一方実用レンタルでは、駅前に溢れる廉価放置車に手を焼いた一部の自治体が、それを回収した修理車を貸し出す程度であった。

2007年、「シェアサイクル」と呼ばれる新しいレンタサイクルが、パリに誕生した。慢性的な交通渋滞解消の切り札として、環境にも優しい自転車を、都市の移動手段にする試みである。
それは自転車(ヴェロ)と自由な(リーブル)を組み合わせ、「ヴェリブ」と名付けられた。街中におよそ300メートル間隔に設置された無人駐輪場(スタシオン)の貸自転車を借り、1700個所ものスタシオンのいずれかに返す、画期的な仕組みだった。料金は基本チケット(1日1.7ユーロ、1週間8ユーロ)を買えば、30分なら無料、1時間1ユーロ、時間が経つにつれ加重的に高くなり、5時間なら31ユーロとなる因みに、1ユーロは135円程度である。
このシステムは、果たして採算に合うのか?個人需要を減らさないか?などと業界人は心配した。パリ市は、地域内各所のスペースに広告できる権利を運営委託した民間企業に与えて採算に乗っているようだ。自転車車体に広告が目立つのもその所以である。
幸い個人需要も、レジャー用主体のフランスでは、実用のヴェリブに食われることなく、むしろ自転車への関心を高めている。
今ではヴェリブは2万台を超え、回転率3回転と言われている。2020年までに自動車交通量を40%減少させる目標が実現できるか興味深い。

パリの成功を見て、2010年オリンピックをきっかけに、ロンドンでも1万台のヴェリブ方式を発足させた。スポンサーの名をつけて「バークレイズ・サイクルハイヤー」と呼ばれ、親しまれている。
その後、この新しい都市交通手段は、ニューヨーク・フランクフルト・バルセロナ・メルボルン・台北など世界中に広がった。
その中で、レンタル需要が盛んだった日本の動きは鈍かった。どうしてか?最大の自転車国中国はどうしたか?

https://www.velib-metropole.fr/#/

5年前