角田安正・雑記帖 壁画式の一夜

渋谷の代々木上原に「カーサ・ヴェッキア」(Casa Vecchia)という隠れ家的なイタリアレストランがある。
オーナーシェフの見崎さん、店内を仕切る岸菜さん、ともに自転車ファンである。見崎さんは大の読書家でもあり、店内には蔵書が飾られ、なかに「自転車物語・スリーキングダム」も混じっている。
店内の白壁には、いわくのある顧客たちの様々なサインが描かれている。
2年前、見崎さんが言った。
「自転車物語の続きが出版されたら、あなたにもサインして貰いますよ・・・・・・」
某日、壁画式ならぬ壁字式を執りおこなった。と言えば聞こえがよいが、関係者の見守るなか、恥かきの文字を書いただけ。
われながら下手だなあと思いつつも、「いやいや味がありますよ」という慰めの声のなかで乾杯した。
店内では、ワイン好き、美味しいもの好き、自転車好きの人たちが、思い思いに夕べを楽しんでいる。


1年前