動かぬMTB:角田安正の雑記帖

1980年代、マウンテンバイク(MTB)が世界を席巻した。サンフランシスコ郊外のタマル山麓のヒッピーたちが、古い実用車を頑丈に改造してダウンヒルを競ったことが始まりである。それまで自転車文化は欧州専売だったが、この米国発のニュースポーツはオリンピックにまで発展した。
そのとき日本は、バブルの真っ直中だった。日産自動車の技術開発部長が言う。
「近ごろ、自動車のルーフや後部にMTBを載せることが流行っている。なかにはハンダ付けする若者もいる」
部下の一人が聞いた。
「それじゃあ、乗れないではありませんか」
「いいんだよ。ただの飾りだからね。固定しないと走りの邪魔になるからね。波乗りしないで、飾りでサーフボードを積む陸(おか)サ―ファーと同じだよ」
バブルに踊った、嘘のような話である。
※陸サーファーはサーフボードをボルトでルーフラックに固定していたらしい。

1年前